ゆっきいDAYS

関西各地へのツーリングやバイクのことなどを書いていきます

飛鳥時代の「白亜のピラミッド」復元完了(奈良県 明日香村)

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着陸したUFOかと思ってしまいそうな八角形の構造物が、のどかな風景の中に出現しました。4年かけて復元整備された、明日香村の牽牛子塚(けんごしづか)古墳です。

日曜のお昼にテレビで「今日から一般公開が始まった」と報道されていたのを見て、早速午後から行ってみることにしました。

 

■アクセス

明日香村の公式HP等を見ると、牽牛子塚古墳に駐車場は無いとのことで、車で行くなら最寄りの近鉄飛鳥駅もしくは「アグリステーション飛鳥」の駐車場に駐車して、そこから10分ほど歩くとされています。

 

〇明日香村 公式HP

asukamura.jp

駐輪場は牽牛子塚古墳のエリア内に設けられていて、自転車とバイクを停められます。しかしこれは現地に行ってから知ったことで、自分は飛鳥駅前から歩いて行ってしまいました・・・。

帰宅後に調べたら、こちらのサイトに駐輪場の記述がありました。

 

〇飛鳥観光協会 公式HP

asukamura.com

 

■飛鳥駅から歩いて古墳へ

バイクで近鉄飛鳥駅に着くと、駅舎のすぐ前に駐輪場がありました。

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この日は来る途中で雨に降られました・・・

自転車だけでなくバイクも数台あったので、自分もそこに停めて徒歩で牽牛子塚古墳に向かいます。

駅からの道は少し分かりにくいのですが、駅舎の裏手(大阪方面へ行くホーム側)に回って、集落の中の細い道を上っていきます。スマホ等で地図を参照する場合は、古墳のすぐ手前にある介護老人福祉施設を目印にすると良いと思います。

また、写真はありませんが、道の途中に牽牛子塚古墳用の臨時駐車場が設けられていました。HP等を調べても記載が見当たらないので、一般公開の開始に合わせた短期間のものかもしれません。

 

■高台に築かれた「白亜のピラミッド」

10分ほど歩くと、牽牛子塚古墳に到着しました。

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エリア内は道も整備されていました

復元整備された古墳は、畑や林が広がる丘陵地の一角に築かれています。改めて現地で見ると、やはり周囲とは異質な存在感を放っていました。

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テントでは明日香村のお土産が売られていました

一般公開の初日だったためか、結構多くの見学者が訪れていました。家族連れや夫婦二人連れの方々が目立つ印象で、自分のようにニュースで知って来た人も多いのかもしれませんね。

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今は茶色の地面ですが、暖かくなったら緑が広がると思います

古墳は丘の上なので坂道を上りますが、飛鳥駅からも坂道の連続だったので、ライディングブーツを履く足がちょっと疲れてきました・・・。もうひと踏ん張りです。

さて、この古墳の整備は2017年から進められてきたそうです。

7世紀後半に作られた古墳で、近年の発掘調査から八角形を三段積み重ねた「八角墳」であり、装飾用の白い岩に覆われていたことが判明しました。

そこから「白亜のピラミッド」とも呼ばれているそうですが、発掘調査の結果をもとにその姿を復元したと言う訳です。

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途中、内部構造が分かる模型が置かれていました

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牽牛子塚古墳(白い方)は墓室が2個ある「合葬墓」 手前側は越塚御門古墳

この古墳が復元された理由は、崩落の恐れがあること、希少な八角墳であること、周囲の遺跡と合わせて世界遺産への登録を目指していること、などのようです。

八角墳は古墳時代末期の天皇陵の特徴だそうで、この古墳も斉明天皇が埋葬されていた可能性が高いそう。斉明天皇は、「大化の改新」で有名な中大兄皇子(のちの天智天皇)の母ですね。

合葬されていたのは、斉明天皇の娘・間人皇女(はしひとのひめみこ)と考えられているそうです。

今回の復元整備の完了にあたって、明日香村がパンフレットを発行しています。村のHPからどうぞ。

 

〇明日香村 公式HP

asukamura.jp

 

■ようやく到着!

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牽牛子塚古墳

前置きが長くなりましたが、ようやく到着しました。

墳丘を覆っているのはコンクリートのように見えますが、調査結果を踏まえて、凝灰岩という岩を使用しているそうです。でも写真だとコンクリートっぽさが強いですね。なんだか要塞にも見えてきます。

すぐ後ろの一段高くなった「展望広場」に登って、上からも見てみました。

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展望広場から

ここからは南東の方角が見渡せます。きっと古墳が築かれた飛鳥時代にも、このような眺望が楽しめたのでしょうね。今はまだ冬っぽい景色ですが、暖かくなれば緑も広がると思います。

古墳にも登れるので、行ってみました。

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入場料などの料金はかかりません 無料です

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墓室が見学できる作りになっています

岩で覆われた古墳なのですが、やっぱり何だか要塞とかトーチカのようにも見えてしまいます・・・。それにしても、当時の様子を(見学用の部分以外は)忠実に再現したということですので、このような精巧な構造物が飛鳥時代に作られていたとは驚きです。

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越塚御門古墳(手前)

牽牛子塚古墳に隣接している越塚御門(こしつかごもん)古墳も、合わせて整備されていました。石室内で映像が上映されていましたが、満員だったので今回はやめておきました。

来てからずっと曇り空だったのですが、ここへ来て晴れ間が覗くように。日光が当たると、牽牛子塚古墳の白さが増します。

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もはや要塞かトーチカにしか見えなくなってしまいました

初めて来たので復元整備される前の状態を知らないのですが、飛鳥観光協会のHPに以前の様子が掲載されていました。

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引用元:飛鳥観光協会「旅する明日香ネット」

〇旅する明日香ネット

asukamura.com

備前と整備後で、風景が一変していますね。村の教育委員会によると、八角墳の復元整備は全国で初めてだそうです。

奈良県橿原市桜井市・明日香村は、この牽牛子塚古墳のほか石舞台古墳高松塚古墳藤原京跡など28件を「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」として、世界遺産への登録を目指しています。既に、暫定リストには掲載されているそうです。

世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会 公式HP

asuka-fujiwara.jp

主に遺跡や古墳、景観で構成されていて、日本という国の成立と形成を知る手がかりとなる貴重な文化遺産だと思われます。しかし考古学的なものなので、奈良市京都市世界遺産に登録されている立派な寺社仏閣に比べると、どうしても地味な印象が・・・。

また、世界遺産を目指していること自体が、余り知られていないように思えます。(※自分も今回初めて知りました)

飛鳥エリアの魅力である豊かな自然や里山の風景、のどかな暮らしの文化なども含めた楽しみ方を上手にアピールできれば、国内の機運も更に高まって登録推進の力になるのではないかと感じました。

 

■牽牛子=アサガオ

「牽牛子」はアサガオを意味するそうです。この牽牛子塚古墳も、八角形の墳丘がアサガオの花に似ていることから、別名「あさがお塚」と呼ばれていたそうです。

そして明日香村は、古墳の周辺にアサガオを植えて花を咲かせるため、ネットで寄付を募っています。古墳と花の組み合わせは意外ですが、それ以上に古墳とクラウドファンディングという組み合わせのギャップもスゴイですね。

 

〇ふるさとチョイス ガバメントクラウドファンディング

www.furusato-tax.jp

 

自分としては、花や緑がキレイな時期に再訪したいと思える場所でした。

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